2026年10月 米国決算まとめ|JPモルガン・シティ・TSMC・ASML・J&J・ユナイテッドヘルス…主要企業の7〜9月期
第1波(10月8日〜16日)の一覧
| 会社 | 分野 | 四半期の要点(会社の決算発表) | kabu の乖離度 |
|---|---|---|---|
| JPモルガン(JPM) | 銀行 | 純利益 $15.3B(1株 $5.57)。有価証券の売却損を除くと $15.8B。株式の売買収益が前年同期比+49% | kabu の対象外 |
| シティグループ(C) | 銀行 | 純利益 $5.2B(1株 $2.85・前年同期 $1.86)、収入 $23.8B(+8%)。第3四半期として10年で最高の収入 | +48pt・株価先行 |
| バンク・オブ・アメリカ(BAC) | 銀行 | 収入 $30.0B、純利益 $6.9B(前年同期 $8.3B)。当局との和解金 $1.2B を除くと $8.1B | +11pt・株価先行 |
| ブラックロック(BLK) | 資産運用 | 運用資産 $15.5T、四半期の純流入 $205B。収入は前年同期比+19% | −8pt・業績先行 |
| チャールズ・シュワブ(SCHW) | 証券 | 純収入 $7.2B(+17%・過去最高)、新規の預かり資産 $190.4B(+38%) | −4pt・おおむね連動 |
| TSMC(TSM) | 半導体の受託製造 | 売上 US$46.7B(+41%)、純利益 +68.7%、粗利率 66.4%。2nm が売上の8% | kabu の対象外 |
| ASML | 半導体の製造装置 | 売上 €11.7B(過去最高)、粗利率 57.5%。2027・28年も供給が需要に追いつかない見込み | kabu の対象外 |
| ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 医薬・医療機器 | 売上 $25.4B(+5.9%)。通期の見通しを引き上げ。タルク訴訟の解決に向けた費用で1株利益は $0.09 | +26pt・株価先行 |
| ユナイテッドヘルス(UNH) | 医療保険 | 売上 $112.7B、営業利益 $6.6B、1株利益 $4.56。通期の見通しを引き上げ | −17pt・業績先行 |
| ペプシコ(PEP) | 食品・飲料 | 売上 +5.6%(既存事業 +3.1%)、1株利益 +17%(コアは +2%) | −15pt・業績先行 |
数字は各社の決算発表(SEC に提出された 8-K / 6-K)から。乖離度は kabu の銘柄ページと同じ計算(直近2年の株価の年率成長 − 売上の年率成長、±8pt 未満は「おおむね連動」)。JPモルガン・TSMC・ASML は kabu の分析対象外です。
大手銀行:利益は増えたが、中身は分かれた
- JPモルガン:純利益 $15.3B(1株 $5.57)。会社は、有価証券の売却損(税引後 $498M)を除くと $15.8B・1株 $5.75 と説明しています。投資銀行の手数料は前年同期比+14%、市場部門の収入は+15%で、そのうち株式は+49%、債券は−4%でした。貸し倒れに備える費用(与信コスト)は $2.7B(決算発表)。
- シティ:純利益 $5.2B(1株 $2.85)で、前年同期($3.8B・$1.86)から増えました。収入は $23.8B(+8%)で、会社は「第3四半期として10年で最も良い収入」と説明。四半期に $4.1B を自社株買いと配当で株主に返しました(決算発表)。
- バンク・オブ・アメリカ:収入は $30.0B(前年同期 $29.0B)。純利益は $6.9B で、当局の命令に伴う制裁金として計上した $1.2B(税金で差し引けない費用)を除くと $8.1B・1株 $1.08 でした。投資銀行の手数料は−11%、トレーディング収入は−5% と、JPモルガン・シティとは逆の動きです(決算発表)。
9月の利上げのあとで、各行の預金や貸出は増えています。金利の動きと銀行株の関係は金利と米国株、FOMC の日程は次回FOMCへ。
資産運用・証券:お金の流入が過去最高水準
- ブラックロック:運用資産は $15.5T。四半期の純流入は $205B で、ETF(iShares)・プライベート市場・現金運用などに広がりました。収入は前年同期比+19%、1株利益は $10.57(調整後 $15.93)(決算発表)。
- チャールズ・シュワブ:純収入は過去最高の $7.2B(+17%)、1株利益 $1.62(調整後 $1.69)。新規の預かり資産は $190.4B(+38%)で、新しい口座は120万件でした(決算発表)。
どちらも、市場の上昇で運用資産が増えたことが収入を押し上げています。kabu の乖離度では、2社とも株価の伸びが売上の伸びと同じか、やや遅い位置にあります(上の一覧)。
AI 半導体の川上:TSMC と ASML
- TSMC:米ドルでの売上は $46.7B(前年同期比+41.2%・前四半期比+16.2%)、純利益は NT$763.06B(+68.7%)。粗利率 66.4%、営業利益率 58.7%。最先端の 2nm が売上の8%、7nm 以下の先端品が79%でした。10〜12月期の売上は $52.3〜54.3B の見通しです(決算発表)。
- ASML:売上は過去最高の €11.7B、粗利率 57.5%、純利益 €5.0B。10〜12月期は €14.2〜15.2B、2026年通期は €44〜45B の見通し。会社は「受注の勢いが四半期ごとに強まり、2027年・2028年の供給計画では顧客の需要をすべては満たせない」と説明しています(決算発表)。
2社は kabu の分析対象外(台湾・オランダの会社)ですが、AI 半導体の需要を映す指標として見られます。kabu の対象銘柄では、設計の エヌビディア(NVDA)(乖離度 −42pt・業績先行)・ブロードコム(AVGO)(+27pt・株価先行)、製造装置の アプライド・マテリアルズ(AMAT)(+54pt・株価先行)・ラムリサーチ(LRCX)(+64pt・株価先行)・KLAC(KLAC)(+51pt・株価先行)が関わります。装置3社は株価の伸びが売上より速い「株価先行」、エヌビディアは逆に「業績先行」の位置です。半導体全体の数字は半導体35社の決算まとめにあります。
ヘルスケア・食品:見通しの引き上げが続いた
- ジョンソン・エンド・ジョンソン:売上 $25.4B(+5.9%)。医薬品は $16.8B(+7.7%)、医療機器は $8.6B(+2.5%)でした。タルク(ベビーパウダー)訴訟の解決に向けた一時的な費用などで1株利益は $0.09 でしたが、調整後は $2.59。通期の売上見通しを中央値 $101.2B、調整後の1株利益を中央値 $11.10 に引き上げました(決算発表)。
- ユナイテッドヘルス:売上 $112.7B、営業利益 $6.6B、1株利益 $4.56(調整後 $4.69)。保険料のうち医療費に使った割合(医療費率)は 88.4%。通期の見通しを1株 $19.50 以上(調整後 $20.50 以上)に引き上げました(決算発表)。
- ペプシコ:売上は+5.6%(為替や買収を除く既存事業で+3.1%)、1株利益は+17%(会社が重視するコアの1株利益は+2%)。北米事業のてこ入れのため、追加のコスト削減を進めるとしています(決算発表)。
来週以降の主な予定
10月20日の週から、テクノロジー企業の決算が続きます。日本時間とこれまでの数字は各社の決算プレビューにまとめています。
| 日付(現地) | 会社 | プレビュー |
|---|---|---|
| 10月20日(火)引け後 | ネットフリックス(NFLX) | ネットフリックスの決算 |
| 10月21日(水)引け後 | テスラ(TSLA)・メタ(META)・IBM(IBM)・テキサス・インスツルメンツ(TXN)・ラムリサーチ(LRCX) | テスラ・メタ |
| 10月27日(火) | コカ・コーラ(KO)(寄付前)・ビザ(V)(引け後) | — |
| 10月28日(水)引け後 | マイクロソフト(MSFT)・アルファベット(GOOGL) | MSFT・GOOGL |
| 10月28日(水) | FOMC(日本時間29日 午前3時) | 次回FOMC |
| 10月29日(木) | インテル(INTC)(引け後)・イーライリリー(LLY)・マスターカード(MA)(寄付前)、アマゾン(AMZN)(目安) | インテル・アマゾン |
| 11月2日(月)引け後 | アップル(AAPL)・パランティア(PLTR) | アップル・パランティア |
10月18日時点で会社が発表済みの日程(アマゾンだけ未発表のため過去の発表日からの目安)。最新は決算発表スケジュールへ。
この記事は、決算が出るたびに追記していきます。
「良い決算 = 株価が上がる」ではない
今回も、シティ・ASML・シュワブなどは良い数字を出したあとに株価が下がったと報じられました。決算の良さがすでに株価に織り込まれていると、発表後に下がることがあります(材料出尽くし)。kabu では、株価が業績をどれだけ先に進んでいるかを乖離度で、いまの株価の位置を PER・PSR の過去の中央値で見られます。決算そのものの読み方は決算サプライズと株価へ。この記事は事実の整理で、特定の銘柄を勧めるものではありません。