金利と米国株の関係 — 利上げ・利下げの影響を受けやすいとされる会社の特徴を実データで整理
金利が株価に効く2つの経路 — 割引率と借入コスト
① 割引率(将来の利益の、いまの値打ち):株価は「会社が将来生み出す利益」をいまの価値に直したもの、と考えられます。金利が高いほど、遠い将来のお金は今の価値に直すと小さくなります。そのため、利益の多くが遠い将来に見込まれている会社ほど、金利の変化で理論上の値段が大きく動きやすいとされます。これが「金利が上がるとPERが下がりやすい」と言われる理由です(詳しくはFOMCの読み方)。
② 借入コスト(利息):借金の多い会社は、金利が上がると払う利息が増え、利益が減りやすくなります。逆に、預金や貸出で稼ぐ銀行のように、金利が上がると収益が増える面を持つ業種もあります。
どちらも「そうなりやすい」という理屈で、実際の株価は、景気・業績・金利がなぜ動いたのか、などに左右されます。
特徴①:PER が高い — 期待が遠い将来に乗っている
PER(株価収益率)は、会社の値段が1年分の利益の何年分かを表します。PER が高いほど、いまの利益より将来の利益への期待が株価に多く含まれている、と読めます。①の割引率の理屈から、PER の高い会社ほど金利の影響を受けやすいとされます。
kabu の対象196銘柄のうち、PER が出る163銘柄の中央値は28.6倍、40倍を超える銘柄が57銘柄ありました。セクター(5銘柄以上)ごとの中央値は次のとおりで、業種による差が大きいことがわかります。
| セクター | 銘柄数 | PER 中央値 | 赤字などで PER なし |
|---|---|---|---|
| フォトニクス | 8 | 89.6倍 | 4 |
| 半導体製造装置 | 6 | 63.7倍 | 1 |
| 半導体 | 31 | 58.4倍 | 8 |
| 生活必需品 | 10 | 32.8倍 | 0 |
| 資本財 | 16 | 31.4倍 | 0 |
| ソフトウェア | 39 | 31.4倍 | 8 |
| ヘルスケア | 19 | 29.2倍 | 2 |
| 電力・原子力 | 8 | 23.7倍 | 1 |
| 一般消費財 | 14 | 23.0倍 | 0 |
| 金融 | 14 | 19.9倍 | 1 |
| エネルギー | 10 | 14.9倍 | 0 |
| 通信 | 6 | 10.9倍 | 1 |
PER は直近4四半期の純利益(TTM)で計算。直近が赤字の銘柄は PER を出していません。kabu の対象銘柄は大型・話題の銘柄が中心で、市場全体の平均とは異なります。
特徴②:売上の伸びが速い — 成長株ほど PER が高い
売上が速く伸びている会社は、将来の利益も大きくなると期待されやすく、PER も高くなる傾向があります。kabu の実データでも、直近四半期の売上の伸び(前年同期比)で3つに分けると、はっきりした差が出ました。
| 売上の伸び(前年同期比) | 銘柄数 | PER 中央値 |
|---|---|---|
| +30%以上 | 41 | 49.9倍 |
| +10〜30% | 60 | 30.8倍 |
| +10%未満 | 62 | 22.9倍 |
「成長株は金利に弱い」と言われるのは、特徴①と同じ理屈です。ただし、伸びが続いて利益が実際に増えれば PER は下がっていくので、金利だけで決まるわけではありません。株価の伸びと業績の伸びの差は、各銘柄ページの「株価と業績のズレ」の図で確かめられます。
特徴③:まだ赤字 — 資金の集めやすさにも左右される
kabu の対象のうち33銘柄は、直近4四半期が赤字などで PER が出ません。利益がまだ出ていない会社は、価値のほとんどが将来にあるため①の影響を受けやすく、さらに、事業のお金を借入や増資で集める条件(金利・投資家の姿勢)にも左右されやすいとされます。
赤字の会社を見るときは、手元の現金で何年もつかが一つの目安になります。kabu の銘柄ページの「つぶれにくい?」では、赤字の会社について「今の赤字ペースで現金は約何年分か」を出しています。
特徴④:借金が多い、または金利で稼ぐ業種
②の経路です。設備に大きなお金がかかる電力・通信・不動産のような業種は借金が多くなりやすく、金利が上がると利息の負担が増えます。一方、銀行は預金と貸出の金利差で稼ぐため、金利が上がると収益が増える面がありますが、景気や貸し倒れの影響も受けます。
個別の会社の借金の大きさは、kabu の銘柄ページの「年度末の現金と借金」(くわしい表示では「現金・短期投資と有利子負債」)で、5年分の推移を確認できます。
益回りと政策金利を並べてみる
PER をひっくり返した益回り(利益 ÷ 株価)は、株を「利回り」として見る見方です。kabu の対象の PER 中央値28.6倍を益回りにすると約3.5%。9月の決定後の政策金利の誘導目標(3.75〜4.00%)と同じくらいの水準です。
預金や債券の利回りが上がると、株の益回りと比べられやすくなる、というのがこの見方のポイントです。ただし、株の益回りはいまの利益で計算したもので、将来の利益の伸びを含みません。この比較だけで株価の高い・低いは決まらないので、目安の一つとして見るのがよいとされます。
kabu で確かめる方法
- PER が過去と比べてどの位置か:銘柄ページを「くわしい」表示にすると、「過去5年の中のいま」で PER・PSR の過去の範囲と現在の位置が見られます。
- 株価が業績より先に動いているか:銘柄ページの「株価と業績のズレ」の図と乖離度。
- 借金と現金:銘柄ページの「つぶれにくい?」と5年の推移。
- 条件で絞る:スクリーナーで PER や売上の伸びを指定して並べ替え。
次の FOMC の日程と見どころは次回FOMCはいつ?にまとめています。