エヌビディア(NVIDIA)はなぜ儲かる?売上100円で64円残るしくみと事業別の売上内訳【2026年】
売上100円の使いみち
このシリーズ(稼ぎ方で読む米国株)は、大きな会社がどこで売上を上げ、どこにお金を使い、いくら残しているかを、決算の数字だけで説明します。第1回はエヌビディアです。
| 項目 | 売上100円あたり | 金額(直近4四半期) |
|---|---|---|
| 売上 | 100円 | 3,030億ドル |
| 売上原価(チップ・部品・製造委託など) | 25円 | 767億ドル |
| 研究開発費 | 7.8円 | 236億ドル |
| 販売費・一般管理費など | 1.7円 | 51億ドル |
| 営業利益(本業のもうけ) | 65円 | 1,975億ドル |
| 税金・その他 | 1.5円 | 46億ドル |
| 純利益(最後に残るお金) | 64円 | 1,929億ドル |
ポイントは3つです。
- 原価が25円と小さい:売値に対して作るコストが低く、粗利率は75%です。
- 研究開発費は金額では大きいが、売上に対しては小さい:236億ドルは多くの会社の売上より大きい金額ですが、売上がそれ以上に速く伸びたため、100円あたりでは7.8円です。
- 「税金・その他」が1.5円しかない:税率は約16%ですが、そのぶんを投資している会社の株の評価益などの「その他の利益」がほぼ埋めています(2026年5〜7月期だけで評価益は78億ドル)。本業のもうけ65円に近い64円が残るのはこのためで、評価益は年によって大きく変わります。
売上100円の内訳と5年の推移は、kabu が SEC EDGAR の決算データから計算した値(2026年9月26日時点)。「税金・その他」は営業利益と純利益の差で、税金・受取利息・投資の評価損益などの合計です。
売上の内訳:92%がデータセンター
2026年5〜7月期(2027年度 第2四半期)の売上は 962億ドルで、前年同期から2.1倍になりました。エヌビディアは2027年度(2026年2月〜)から、売上の区分を「誰が買っているか」に近い形に変えました。
| 区分 | 売上(2026年5〜7月期) | 売上に占める割合 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| データセンター | 890億ドル | 92.5% | +117% |
| ハイパースケール(大手クラウド) | 487億ドル | 50.6% | +102% |
| AIクラウド・産業・企業(ACIE) | 403億ドル | 41.9% | +138% |
| エッジコンピューティング(PC・ゲーム・車など) | 72億ドル | 7.5% | +27% |
| 合計 | 962億ドル | 100% | +106% |
売上の半分は、マイクロソフト・グーグル・アマゾンなどの大手クラウド(ハイパースケーラー)向けです。残りの大部分は、AI 専業のクラウド企業、AI モデルの開発会社、各国の政府(ソブリンAI)などです。ゲーム用の GPU を含むエッジは1割未満になりました。
ハイパースケールと ACIE の区分は、2026年5〜7月期に1社の区分を変更し、過去の数字もさかのぼって修正されています。
なぜ残るのか:工場を持たない+ソフトウェアとセット
エヌビディアはファブレス(工場を持たない半導体会社)で、チップの製造は TSMC などに委託しています。そのため、工場への設備投資が小さいのが特徴です。
作ったチップは、単体ではなく、サーバー一式・ネットワーク・ソフトウェア(CUDA など)と組み合わせて売られます。こうした「まとめて使える形」で売れることが高い粗利率につながっている、という見方が一般的です。ただし、原価の中身(どの部品にいくらかかっているか)は開示されていません。
工場を持つ会社との違いはファブレス・IDM・ファウンドリの違いで詳しく扱っています。
5年の推移:16円から64円へ
| 年度(決算期) | 売上 | 粗利率 | 研究開発費(100円あたり) | 最後に残る(100円あたり) |
|---|---|---|---|---|
| 2023年1月期 | 270億ドル | 56.9% | 27円 | 16円 |
| 2024年1月期 | 609億ドル | 72.8% | 14円 | 49円 |
| 2025年1月期 | 1,305億ドル | 75.0% | 9.9円 | 56円 |
| 2026年1月期 | 2,159億ドル | 71.1% | 8.6円 | 56円 |
| 直近4四半期(〜2026年7月) | 3,030億ドル | 74.7% | 7.8円 | 64円 |
4年ほどで売上は約11倍になりました。研究開発費の金額は増え続けていますが、売上の伸びがそれを大きく上回ったため、100円あたりの負担は27円から7.8円に下がりました。費用の伸びより売上の伸びが速いと、利益の割合が上がる(営業レバレッジ)の典型的な例です。
売上100円の内訳と5年の推移は、kabu が SEC EDGAR の決算データから計算した値(2026年9月26日時点)。
数字で見えるリスク
- 買い手が集中している:売上の約半分が大手クラウド向けです。大手クラウドの設備投資の計画が変わると、影響を受けやすい構造です。
- 大きな購入の約束:メモリなどの部材を確保するための購入の約束は、2026年7月末時点で 2,790億ドル(3か月前は1,190億ドル)です。
- データセンターの保証:2026年8月、OpenAI 向けのデータセンターの建設に関連して、最大 1,050億ドルの保証を結んだと開示しています(条件を満たすと段階的に有効になります)。
- その他の利益の振れ:純利益には投資先の株の評価益が含まれ、市場の動きで増減します。
kabu のデータで見るいまの値札
2026年7月末時点で、PER は約26倍、PSR は約16倍です。直近2年の株価と業績のズレ(乖離度)は −42pt で、売上の伸びが株価の伸びを上回る「業績先行」の状態です(株格 GPFL)。
会社の見通しでは、2026年8〜10月期の売上は 1,080億ドル(±2%)、粗利率は74.0%(±0.5pt)です。決算の日程と前回の数字はエヌビディアの決算プレビュー、売上100円の図と5年の推移は銘柄ページ、ほかの半導体との比較はNVIDIA vs AMD・NVIDIA vs Broadcomで確かめられます。