米国株の外国税額控除|計算式・限度額・申告のやり方(配当の二重課税を取り戻す)
仕組み: 日本の税金から米国の税金を差し引く
日本の居住者は、原則として国内外すべての所得に日本で課税されます。一方、米国は非居住者への配当に源泉税(租税条約により 10%)をかけます。同じ配当に両国が課税するため、日本側が「外国で払った分は日本の税金から引いてよい」とするのが外国税額控除です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 課税口座(特定口座・一般口座)で受け取った米国株・米国ETF の配当・分配金にかかる米国源泉税(通常の配当は 10%。MLP や一部の REIT などは税率が異なる) |
| 対象外 | NISA 口座の配当(日本で非課税=差し引く日本の税金がない)、譲渡益(米国では非課税なので二重課税ではない) |
| 方法 | 確定申告で「外国税額控除に関する明細書」を提出。配当は申告分離課税か総合課税で申告する必要がある(申告不要を選ぶと控除できない) |
NISA では米国 10% がそのまま残ります。この点は NISA で米国株 と NISA vs 特定口座 比較ツール で扱っています。
控除限度額の計算式
所得税から差し引ける上限は次の式で決まります。
つまり「所得全体のうち米国配当が占める割合」の分だけ、所得税から引けます。米国源泉税がこの限度額を超える場合は、さらに次の順で差し引きます。
| 順番 | 控除先 | 限度額 |
|---|---|---|
| 1 | 所得税 | 上の式 |
| 2 | 復興特別所得税 | 所得税の控除限度額 × 2.1% |
| 3 | 住民税(道府県民税) | 所得税の控除限度額 × 12%(政令指定都市は 6%) |
| 4 | 住民税(市町村民税) | 所得税の控除限度額 × 18%(政令指定都市は 24%) |
それでも引ききれない分(控除限度超過額)は翌年以降3年間繰り越せます。逆に限度額に余裕があった分(控除余裕額)も3年間繰り越して、将来の超過分に使えます。外国税額控除 還付シミュレーター で、所得と配当額から戻る金額の目安を試算できます。
具体例: 全額戻る場合と、戻らない場合
例1(給与 600万円・米国配当 20万円): 米国源泉税は 2万円。所得税額が約 20万円、所得総額(給与所得控除後の給与所得+配当)に占める配当の割合が約 4% なら、所得税の限度額は約 9,000円。復興特別所得税・住民税の枠を足しても 1.2万円前後(概算)で、2万円の全額は戻らず、残りは繰越になります。
例2(配当が所得の大部分を占める場合): 退職後などで所得のほとんどが米国配当なら、国外所得の割合が高いため限度額が大きくなり、全額近くが戻ることがあります。
ポイントは、限度額は「所得税額 × 国外所得の割合」で決まるので、給与が多く配当が少ない人ほど戻る割合が小さいことです。数字は所得の構成で大きく変わるため、シミュレーターでの試算をおすすめします。
申告の手順(e-Tax)
- 特定口座年間取引報告書の「配当等の額」「外国所得税の額」を確認します(年間取引報告書の見方)。
- 確定申告書等作成コーナーで配当所得を申告分離課税(または総合課税)で入力します。
- 「外国税額控除」の画面で、国名(米国)・所得の種類(配当)・納付日・外国所得税の額・国外所得の額を入力します。報告書の数字を年単位でまとめて入力できます。
- 前年までの繰越額がある場合は、繰越分も入力します。
- 住民税分は、所得税の申告内容にもとづいて市区町村が計算するため、別途の手続きは原則不要です。
税制は毎年の改正で変わります。本記事は情報提供・教育目的の一般的な整理で、個別の税務判断は国税庁の最新情報や税理士への確認をおすすめします。投資助言・税務助言ではありません。