米国株の損益通算と繰越控除|損失を3年間使う条件、配当との相殺、NISA・為替差損の注意
損益通算: 同じ年の中で相殺する
米国株の譲渡損失は、税法上「上場株式等の譲渡損失」として、次のものと同じ年の中で相殺できます。
| 相殺できる相手 | 条件 |
|---|---|
| 他の上場株式等の譲渡益 | 日本株・米国株・ETF・公募投資信託は同じ区分。複数の証券会社の口座をまたいで通算できる(確定申告が必要) |
| 上場株式等の配当・分配金 | 申告分離課税で申告した配当に限る。総合課税を選んだ配当とは相殺できない |
| 特定公社債の利子・譲渡益 | 同じ「上場株式等」の区分 |
同じ特定口座(源泉徴収あり)の中では、証券会社が譲渡損と配当を自動で通算し、引きすぎた税金を年末に還付します。口座をまたぐ通算と、翌年以降への繰越は確定申告が必要です。
繰越控除: 翌年から3年間使う
その年に相殺しきれなかった損失は、確定申告をすることで翌年以降3年間、上場株式等の譲渡益・配当と相殺できます。
例: 2026年に 50万円の損失 → 2027年に 20万円の利益(相殺して課税ゼロ、残り 30万円)→ 2028年に 40万円の利益(30万円を相殺、10万円に課税)。
重要なのは、損失が出た年から、使い切るまで毎年連続して確定申告が必要なことです。取引をしなかった年や利益がゼロの年も、繰越を続けるための申告(付表の提出)が要ります。申告を忘れた年があっても、期限後申告で連続性を保てる場合があるので、気づいた時点で税務署に相談してください。
対象にならないもの
- NISA 口座の損失: NISA は「なかったこと」として扱われるため、損失も認識されません。課税口座の利益と相殺できず、繰り越しもできません。
- 為替差損益: 売却代金をドルのまま持ち、後で円に替えたときの為替差損益は「雑所得」で、株の譲渡損益とは別区分です。相殺できません(為替差益 計算ツール)。
- 給与など他の所得: 株の損失を給与所得から引くことはできません(申告分離課税のため)。
- 未実現の含み損: 売却して確定した損失だけが対象です。年内に売るかどうかは、税金以外の要素も含めて判断が必要です。
外国税額控除との関係
所得税額がゼロの年(所得が株の損失だけの場合など)は控除限度額もゼロになり、その年は外国税額控除を使えません。この場合、米国で払った源泉税は「控除限度超過額」として3年間繰り越し、利益が出た年に使えます。損失の繰越と外国税額控除の繰越は別の制度なので、両方を申告書に記載します。
また、配当を申告分離課税で申告して損失と相殺すると、配当にかかった日本の税金は戻りますが、相殺した配当の分だけ外国税額控除の限度額が小さくなる場合があります。限度額の計算は複雑で見解が分かれる部分もあるため、金額が大きい場合は税理士や税務署に確認するのが確実です。
申告のやり方
- 年間取引報告書の「差引金額」がマイナスであることを確認します(年間取引報告書の見方)。
- 確定申告書等作成コーナーで特定口座の内容を入力すると、損失が自動で計算されます。
- 「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用」の付表(確定申告書付表)が作成されるので、内容を確認して提出します。
- 翌年以降は、前年の申告で繰り越した金額を入力し、その年の利益と相殺します。
申告全体の流れは 確定申告のやり方 へ。損失を申告した年は、株の損失が給与など他の所得から差し引かれるわけではないので、合計所得金額は増えも減りもしません。ただし翌年以降に繰越控除で利益を相殺する年は、繰越控除前の利益が合計所得金額に含まれるため、扶養や国民健康保険料に影響することがあります。
税制は毎年の改正で変わります。本記事は情報提供・教育目的の一般的な整理で、個別の税務判断は国税庁の最新情報や税理士への確認をおすすめします。投資助言・税務助言ではありません。