日本株と米国株の売買ルールの違い — 100株単位・PTS・時間外取引・呼値・値幅制限を整理
一覧表:売買ルールの7つの違い
| 項目 | 日本株(東証) | 米国株 |
|---|---|---|
| 最低の売買単位 | 100株(単元株。全上場会社で統一) | 1株から(単元の決まりがない) |
| もっと少なく買う方法 | 証券会社の単元未満株サービスで1株から | 一部の証券会社・サービスで金額指定(1株未満) |
| 取引時間(日本時間) | 9:00〜11:30/12:30〜15:30 | 夏 22:30〜翌5:00/冬 23:30〜翌6:00 |
| 通常の時間の外で売買 | PTS(私設取引システム)の夜間取引 | 取引所の時間外取引(プレ/アフターマーケット) |
| 値段の刻み(呼値) | 株価の水準ごとに決まる(例: 3,000円以下の通常銘柄は1円) | 1ドル以上は1セント(0.01ドル) |
| 1日に動ける幅 | 値幅制限あり(ストップ高・ストップ安) | 銘柄ごとの1日の値幅制限はなし(急変時の一時停止はある) |
| 代金の受渡(日本の証券会社) | 約定日から2営業日後(T+2) | 国内約定日から3営業日目が一般的(現地は T+1) |
以下、1行ずつ中身を見ていきます。数字や時間は 2026年9月時点の制度です。変更されることがあるので、実際の注文前には取引所と証券会社の案内で確認してください。
違い①:最低の売買単位 — 日本は100株、米国は1株から
日本の上場株は、取引所で売買できる最小の単位(単元株)が100株に決まっています。株価3,000円の銘柄なら、最低でも 3,000円 × 100株 = 30万円が必要です。
米国株には単元の決まりがなく、1株から買えます。株価150ドルの銘柄なら 150ドル × 1株 = 約2万2,500円(1ドル=150円で計算)です。株価が数百ドルの大型株でも、1株なら数万円から持てます。
米国の大型株は株価が上がると株式分割をすることが多く、1株の値段が手の届く水準に保たれやすいのも特徴です(例: NVIDIA は2024年に1株を10株に分割)。分割の前後で「1株あたり」の数字は変わりますが、会社の価値そのものは変わりません(株式分割と株式併合の違い)。
違い②:もっと少なく買う方法 — 単元未満株と金額指定
日本株は、証券会社の単元未満株サービスを使うと、100株に満たない1株単位でも売買できます。ただし、取引所の通常の板で売買するのではなく、証券会社が決めた時間・価格の決まり方で約定することが多く、注文の種類や手数料が通常の取引と違う場合があります。
米国株はもともと1株から買えますが、一部の証券会社・サービスでは、「1万円分」「100ドル分」のような金額指定で、1株未満の端数(端株)まで買えるものもあります。積立で使われることが多い方法です。取り扱う銘柄や注文方法は会社ごとに違います。
どちらも「少額から分散できる」便利な方法ですが、通常の注文とはルールが違う点に注意が必要です。
違い③:取引時間と「時間外」 — 日本は PTS、米国は時間外取引
日本株の東証の取引時間は、前場 9:00〜11:30、後場 12:30〜15:30 です(2024年11月5日から大引けが15:00から15:30に延び、最後の5分は終値を決めるための注文受付の時間=クロージング・オークション)。取引所が閉まったあとは、PTS(私設取引システム)で売買できます。例えばジャパンネクストPTSの夜間の取引は、16:30〜翌6:00 です。
米国株の通常の取引時間(レギュラーセッション)は、現地(ニューヨーク時間)9:30〜16:00。日本時間では夏(サマータイム)22:30〜翌5:00、冬 23:30〜翌6:00です(米国株の取引時間と休場日)。その前後にプレマーケット(取引開始前)とアフターマーケット(取引終了後)という時間外取引があります。
ここで混同しやすいのが、日本の PTS は日本株のための仕組みだという点です。米国株を日本の夜に売買したいときは、PTS ではなく、米国の時間外取引を使えるかどうかが問題になります。日本の証券会社では対応がまちまちで、2026年9月時点ではマネックス証券・moomoo証券などが対応し、楽天証券も2026年1月からプレマーケット、6月からアフターマーケットに対応しました。使える時間帯と注文方法は会社ごとに違います。
時間外取引は、通常の時間より参加者が少なく、売り買いの値段の差(スプレッド)が広がりやすく、値動きも荒くなりやすい傾向があります。決算の発表は多くが寄付前か引け後なので、時間外に株価が大きく動くことがよくあります。
出典: 東証の取引時間延伸(楽天証券の告知)/ジャパンネクスト証券 PTS/マネックス証券 米国株 時間外取引/楽天証券 アフターマーケット対応
違い④⑤:値段の刻み(呼値)と、1日に動ける幅
呼値(よびね)は、注文できる値段の最小の刻みです。
- 日本株: 株価の水準ごとに刻みが決まっています。通常の銘柄なら、株価3,000円以下は1円、3,000円超〜5,000円は5円刻み、といった具合です。売買の多い銘柄(TOPIX500 構成銘柄)はもっと細かい刻みで、2027年3月からは銘柄ごとの流動性で刻みを決める方式に変わる予定です。
- 米国株: 株価1ドル以上は1セント(0.01ドル)刻み、1ドル未満は0.0001ドル刻みです。米国 SEC は2024年に、売買の多い一部の銘柄を0.5セント刻みにするルール改正を採択しましたが、適用開始は延期されています。
1日に動ける幅も大きく違います。
- 日本株: 前日の終値をもとに、1日に動ける幅(制限値幅)が決まっています。例えば前日の終値が1,000円以上1,500円未満なら、上下300円まで。上限に張り付くのがストップ高、下限がストップ安です。
- 米国株: 銘柄ごとの1日の値幅制限はありません。決算などで1日に数十%動くこともあります。その代わり、短い時間に急変したときに5分間ほど取引を止める仕組み(LULD)と、S&P 500 が1日に7%・13%・20%下げたときに市場全体を止めるサーキットブレーカーがあります。
出典: JPX 呼値の単位/JPX 10月31日以降の呼値の単位の取扱い/SEC Tick Sizes(小規模事業者向けガイド)/SEC 最小価格刻みの延期についての声明
違い⑥:代金の受渡 — 米国は T+1、日本の証券会社では3営業日目
日本株は、約定日から2営業日後(T+2)に代金と株を受け渡します。
米国株は、米国の現地では2024年5月28日の取引からT+1(約定の翌営業日)になりました。ただし日本の証券会社で米国株を買う場合、国内の受渡日は「国内約定日(現地の約定日の翌国内営業日)から3営業日目」のまま、という会社が多く、現地の短縮はそのまま反映されていません。売った代金をいつ次の注文に使えるかは、会社ごとの案内で確認してください。
米国株はドルで受け渡すので、円で買うかドルで買うかでも手順が変わります(円貨決済と外貨決済の違い)。
出典: 楽天証券 米国株式の現地受渡日の変更/マネックス証券 米国株の約定日・受渡日/日本証券業協会 T+2 のお知らせ
kabu で米国株を見るときのポイント
売買ルールの違いは「どう注文するか」の話で、「どの会社か」を考えるときは、業績と株価の関係を見るのが出発点です。kabu の銘柄ページでは、売上100円の使いみち、5年の推移、株価と業績のズレを実データで並べています。1株の値段の動きは、各銘柄ページの TradingView のチャートで確認できます。
1株から買えるぶん、少額で複数の銘柄に分けやすいのが米国株の特徴です。一方で、値幅制限がなく時間外にも動くため、決算の前後は値動きが大きくなりやすい点も知っておくと安心です。決算の日程は決算発表スケジュール(日本時間)で確認できます。注文の種類の違いは成行注文と指値注文の違いへ。