「利上げ観測が後退」とは? 雇用統計と CPI で揺れる10月の利上げ確率|今後の注目イベント【2026年10月】
何が起きたか — 3行で
| 内容 | |
|---|---|
| きっかけ | 10月2日の米雇用統計(9月分)で、雇用者数の増加が 2.9万人 と予想を大きく下回った |
| 市場の見方 | 10月27〜28日の FOMC で利上げする確率が、1週間前の約36%から 17% に下がった(CME FedWatch、10月2日時点の報道) |
| 変わっていないこと | 12月の利上げは引き続き高い確率で見込まれ、長期金利(10年債)は 5.31% まで上がった(10月5日) |
「利上げ観測が後退」は、「次の会合ですぐ上げる」という見方が弱まったという意味で、利上げの局面が終わったという意味ではありません。FRB は9月に、2023年以来となる利上げをしたばかりです。
10月18日更新:9月の CPI で、10月の利上げ観測が一時強まった
| 項目 | 9月分 | ひとこと |
|---|---|---|
| 消費者物価(総合) | 前月比 +0.6%・前年比 +3.7% | 8月の前年比 +3.4% から上昇。前年比の予想は +3.6% と報じられていた |
| コア(食品・エネルギーを除く) | 前月比 +0.3%・前年比 +2.6% | 予想(前月比 +0.2%)をやや上回ったと報じられた |
| ガソリン | 前月比 +9.1%・前年比 +34.2% | エネルギー全体は前年比 +20.4%。総合の上昇の大きな部分を占めた |
| 住居費 | 前月比 +0.4%・前年比 +3.2% |
出典: 米労働統計局(BLS)CPI — September 2026(2026年10月14日公表)。予想は報道による。
報道によると、金利先物から計算した10月の利上げ確率(CME FedWatch)は、CPI の発表前の2割強から、発表当日の昼に約4割まで上がり、その後は3割前後に戻ったと伝えられています。12月の利上げは9割前後と見られています。数字は時間帯や情報源によって差があり、毎日変わります。
一方で長期金利は、CPI のあと下がりました。10年債の利回りは10月5日の5.31%から、10月16日には5.09%になっています(下の表)。総合の物価はガソリンで大きく上がった一方、コアの上がり方はそれより小さかったことも、受け止めの材料として挙げられています。
きっかけ:9月の雇用統計(10月2日発表)
| 項目 | 9月分 | ひとこと |
|---|---|---|
| 非農業部門の雇用者数 | +2.9万人 | 市場予想は8万〜9万人台と報じられていた |
| 失業率 | 4.2% | 8月の4.1%から上昇 |
| 7月・8月分の修正 | 合計 −6万人 | 7月は +2.1万人 → −1.0万人、8月は +16.2万人 → +13.3万人 |
| 平均時給 | 前月比 +0.1%・前年比 +3.0% | 賃金の伸びも落ち着いた |
| 労働参加率 | 61.8% | ほぼ横ばい |
出典: 米労働統計局(BLS)Employment Situation — September 2026。市場予想は報道(CNBC など)による。
過去分の下方修正で、7月は雇用者数がマイナスだったことになりました。「雇用が再び引き締まっている」という見方には合わない内容と受け止められ、FRB が急いで追加の利上げをする理由が弱まった、という解説が多く出ています。雇用統計の項目の読み方は米国雇用統計の読み方へ。
前提:FRB は9月に利上げしていた
9月15〜16日の FOMC は、政策金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標を0.25%引き上げて 3.75〜4.00% にしました。投票は12対0の全会一致です。声明は「インフレは高い水準にとどまっている」とし、今回の決定が「2%の目標へのより早い回帰を支える」と説明しました。
同時に出た参加者の見通し(中央値)では、2026年末の政策金利は 4.1%(6月時点は3.8%)。年内にもう1回の利上げを見込む形です。物価の見通しは PCE 3.7%・コアPCE 3.4%(2026年)でした。
出典: FRB 声明(2026年9月16日)。見通しの表と次回の日程は次回FOMCはいつ?にまとめています。
つまり今の論点は「いつ利下げするか」ではなく、「次の利上げを10月にするか、12月にするか、しないか」です。
市場の見方(10月2日時点):10月はほぼ据え置き、12月は利上げが多数
| 会合 | 利上げの確率(報道) | 据え置きの確率 |
|---|---|---|
| 10月27〜28日 | 約36%(9月下旬)→ 17%(10月2日) | 約8割 |
| 12月8〜9日 | 75%超(10月上旬) | — |
CME FedWatch(金利先物から計算した確率)の数字は CNBC・24/7 Wall St. の報道から。予想市場の Kalshi・Polymarket でも、10月の利上げは約2割、据え置きは約8割となっています(10月6日時点)。確率は毎日変わります。
報道では、ゴールドマン・サックスのストラテジストが「10月の利上げの扉は事実上閉じた」としつつ、12月に追加で1回を基本シナリオとして残している、と伝えられています。「次の利上げが10月から12月にずれた」という受け止めが中心です。
長期金利の推移(財務省データ)
| 日付 | 2年債 | 10年債 | 30年債 |
|---|---|---|---|
| 9月15日(FOMC 前日) | 4.67% | 5.00% | 5.36% |
| 9月16日(利上げ当日) | 4.74% | 5.01% | 5.35% |
| 9月30日 | 4.88% | 5.29% | 5.64% |
| 10月2日(雇用統計) | 4.83% | 5.28% | 5.63% |
| 10月5日 | 4.84% | 5.31% | 5.66% |
| 10月14日(CPI) | 4.82% | 5.19% | 5.52% |
| 10月16日 | 4.74% | 5.09% | 5.43% |
出典: 米財務省 Daily Treasury Par Yield Curve Rates(各日の利回り・財務省の CSV で確認)。訂正(10月18日):10月6日の公開時、この表の2年債すべてと、9月の10年債の数値に誤りがありました。財務省のデータで正しい値に直し、本文も合わせて直しました。
政策金利の見通しに近い2年債は、9月の利上げのあと9月末に4.88%まで上がり、雇用統計のあとは4.8%前後で推移しました。10年債は9月の利上げ(5.01%)から10月5日の5.31%まで約0.3%上がり、2002年以来の高い水準と報じられました。物価が高いまま続くことへの心配や、国債の発行が多いことが理由として挙げられています。その後、10月中旬には5.1%前後まで下がっています。
株価の値段の目安になる PER は、長期金利が高いと下がりやすいと説明されることが多い指標です。金利がどんな会社に効きやすいとされるかは金利と米国株で実データとともに整理しています。
今後の注目イベント(日本時間)
| 現地日付 | イベント | 日本時間 | 見どころ |
|---|---|---|---|
| 10月7日(水) | 9月 FOMC の議事要旨 | 10/8(木)3:00 | 12月の追加利上げについて、参加者がどこまで議論していたか |
| 10月13〜15日 | 大手銀行の決算 | 各社の寄付前(日本時間の夜) | 貸し倒れの準備・消費の様子。ブラックロック・シティ・J&J(13日)、バンク・オブ・アメリカ(14日)など |
| 10月14日(水) | 9月の CPI(消費者物価) | 10/14(水)21:30 | 結果:総合は前年比 +3.7%、コアは +2.6%(上の更新を参照) |
| 10月15日(木) | 9月の PPI(生産者物価)・小売売上高 | 10/15(木)21:30 | 物価の川上と、消費の強さ |
| 10月20〜23日 | 決算の山(Netflix・TI・Intel・IBM ほか) | — | 半導体・AI 投資の先行指標 |
| 10月28日(水) | FOMC の決定 | 10/29(木)3:00(会見 3:30) | 据え置きなら、声明と会見で12月の利上げをどう語るか。経済見通しは出ない回 |
| 10月27〜30日 | 大手テックの決算(Apple・Amazon・Tesla ほか) | — | AI 投資の金額と、金利が高い中での市場の反応 |
| 10月29日(木) | 7〜9月期の GDP 速報・9月の PCE 物価 | 10/29(木)21:30 | FRB が重視する物価(PCE)は FOMC の翌日に出る |
| 10月30日(金) | 7〜9月期の雇用コスト指数(ECI) | 10/30(金)21:30 | 賃金の伸びの広い指標 |
| 11月1日(日) | 米国が冬時間に | — | これ以降、指標の発表は日本時間 22:30、FOMC は 4:00 になる |
| 11月6日(金) | 10月の雇用統計 | 11/6(金)22:30 | 9月の弱さが続くか、一時的か |
| 11月10日(火) | 10月の CPI | 11/10(火)22:30 | 12月会合の前の物価指標 |
| 12月4日(金) | 11月の雇用統計 | 12/4(金)22:30 | 12月会合の直前 |
| 12月8〜9日 | FOMC(経済見通しあり) | 12/10(木)4:00 | 市場が利上げを見込んでいる会合。2027年の見通しも更新される |
日程の出典: FRB FOMC 開催日・BLS 10月・BLS 11月・BEA の公表予定。議事要旨は会合の3週間後の慣例による予定日、小売売上高(米国勢調査局)と決算日は報道・各社の発表による。決算の全日程は2026年10月の米国株カレンダーと決算発表スケジュールで確認できます。
CPI の読み方は米国CPIの読み方、FOMC の仕組みはFOMCの読み方へ。この記事は、決定の予想や株価の方向は書きません。