予想PERと実績PERの違いとは?どちらを見るべきか — フォワードPER・トレーリングPER(TTM)の計算・コンセンサス予想の限界・使い分けをわかりやすく解説
「NVIDIA の PER は 50 倍」と「30 倍」の両方を目にすることがあります。前者は実績(直近 12 か月の利益)で割った PER、後者は予想(来期のアナリスト予想)で割った PER で、どちらも間違いではありません。成長株ほど両者の差は大きくなり、どちらの数字かを確認しないと「割安・割高」の判断がずれます。
一覧表:予想PERと実績PERの違い
| 項目 | 実績 PER(トレーリング・TTM) | 予想 PER(フォワード) |
|---|---|---|
| 分母 | 直近 12 か月(TTM)の EPS | 来期(12 か月先)のコンセンサス EPS 予想 |
| 数字の性格 | 確定した事実 | アナリストの予想(外れる) |
| 成長株での値 | 高い | 低い(利益が伸びる前提) |
| 減益局面での値 | 低い(過去の高い利益で割る) | 高い |
| GAAP/非 GAAP | どちらでも計算できる。kabu は GAAP | 多くは非 GAAP(アナリスト予想の慣行) |
| 向く用途 | 過去との比較、会社間の比較、シクリカル株の点検 | 成長株の「期待」の可視化 |
実績PER — 事実で割る
実績 PER は、直近 4 四半期の EPS を合計した TTM(Trailing Twelve Months) で株価を割ります。数字は確定しているため、過去の自分(同じ会社の過去レンジ)や他社と同じ基準で比べられるのが利点です。弱点は、利益が急に伸びている(または減っている)会社では「古い利益」で割ることになり、成長株では極端に高く、減益局面では極端に低く見えることです。一過性の損益で歪む点も同じです(EPS と純利益の違い)。kabu の PER・判定・過去レンジはすべて実績(TTM・GAAP)で計算しており、同じ物差しで 195 銘柄を比べられます。
予想PER — 期待で割る
予想 PER は、アナリストのコンセンサス予想(来期 12 か月の EPS)で割ります。成長株では「来年は利益が 1.5 倍になる」という予想が分母に入るため、実績より大幅に低くなります。「予想 PER 30 倍」は「予想どおり利益が伸びれば 30 倍」という意味で、予想が外れれば話は変わります。もう一つの注意点は、多くのデータ提供元の予想 PER が非 GAAP の EPS 予想を使うことです。株式報酬を除いた EPS で割るため、GAAP の実績 PER とはさらに差が開きます(GAAP と非 GAAP の違い)。
例で比べる
株価 150 ドル、直近 12 か月の GAAP EPS が 3 ドル、来期の非 GAAP EPS 予想が 5 ドルの成長株を考えます。
- 実績 PER(GAAP)= 150 ÷ 3 = 50 倍
- 予想 PER(非 GAAP)= 150 ÷ 5 = 30 倍
使い分けの基準
| 見たいもの | 使う PER | 補足 |
|---|---|---|
| この会社は過去より割高か | 実績 PER の過去レンジ | kabu の判定ページ(中央値・25〜75%) |
| 同業と比べて割高か | 実績 PER(同じ基準で) | 予想は各社の予想精度が違う |
| 成長がどこまで織り込まれているか | 予想 PER と PEG | 予想が外れるリスクを前提に |
| シクリカル株 | 実績と予想の両方 | ピーク利益で実績 PER が低く見える「低 PER の罠」に注意 |
| 赤字企業 | どちらも不可 → PSR | PER・PSR・EV/EBITDA の違い |
どちらか一方が正しいのではなく、実績で「今」を、予想で「期待」を見るのが使い分けです。kabu の乖離スコア(株価の伸び − 売上の伸び)は、予想に頼らずに期待の先行度を測るための指標です(乖離スコアとは)。
よくある質問
予想 PER と実績 PER はどちらを見ればいいですか?
目的によります。過去や同業との比較には実績 PER(確定した数字で同じ基準)、成長がどこまで織り込まれているかを見るには予想 PER が使われます。予想は外れる前提で、両方を並べて見るのが実践的です。
成長株の予想 PER が実績 PER より大幅に低いのはなぜですか?
分母に「来期は利益が大きく伸びる」というアナリスト予想が入るためです。加えて多くの予想 PER は株式報酬を除いた非 GAAP の EPS で計算されるため、GAAP の実績 PER との差がさらに開きます。
kabu の PER は予想ですか実績ですか?
実績(直近 12 か月・TTM)の GAAP 純利益で計算しています。会社発表の調整後 EPS や予想 PER より高く見えることがありますが、195 銘柄を同じ基準で比べられ、過去レンジとの比較ができる利点があります。
PEG とは何ですか?
予想 PER を利益成長率で割った指標です。PER 30 倍でも成長率 30% なら PEG は 1 倍で、成長を考慮した割安・割高の目安として使われます。成長率の予想が外れるリスクは PER と同じです。
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