ホームガイド › Everspin Technologies(MRAM)の技術的優位性 — 世界で唯一の「MRAM専業」の実力と限界
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Everspin Technologies(MRAM)とは何の会社?MRAM専業の強みと弱み・リスク — スピントロニクス関連の米国株を解説

スピントロニクス関連銘柄」を探すと、まず名前が挙がるのが Everspin Technologies(ティッカー: MRAM)です。電子のスピン(磁気)でデータを保持する MRAM を、20年近く量産し続けている世界で唯一の MRAM 専業メーカー。ただし年間売上は数千万ドル規模の小さな会社でもあります。何が強く、どこが弱いのかを、数字を断定せずに整理します。

会社概要 — Everspinは何をつくる会社か

Everspin は2008年に Freescale(現 NXP)から分離して生まれた、米アリゾナ州の半導体企業です。製品は MRAM(磁気抵抗メモリ) の一本足で、大きく2種類あります。

  • Toggle MRAM — 2006年から量産が続く第1世代。産業機器・自動車・航空宇宙で「電源が落ちても消えない・書き換え回数がほぼ無制限」の小容量メモリとして使われる。
  • STT-MRAM — スピン注入で書き込む第2世代。データセンターのストレージ装置(RAID コントローラの書き込みキャッシュなど)や、より大容量の用途向け。
これに加え、自社の MRAM 製造プロセスを他社のファウンドリ(GlobalFoundries 等)に提供するライセンス・受託開発の収入があります。2026年には米国の防衛産業向けに最先端 MRAM プロセスと技術サービスを提供する4,000万ドルの契約を米プライム契約者と結び、非製品収入の柱が加わりました。最新の売上構成は 銘柄ページ で確認できます。

MRAMとは何か — 「消えない・速い・壊れにくい」をかみ砕く

メモリには大きく、速いが電源を切ると消える DRAMSRAM と、消えないが遅く書き換え寿命のある NAND フラッシュ があります。MRAM は磁気の向きで 0/1 を記憶するため、電源を切っても消えず(不揮発)、SRAM 並みに速く、書き換え回数の上限が事実上ないという、両者の間を埋める性格を持ちます。放射線に強い点も、宇宙・防衛用途で評価される理由です。一方、1ビットあたりの面積が大きくコストが高いため、DRAM や NAND のような大容量メモリの置き換えには向きません。「小容量でいいから絶対に消えては困り、何度でも書き換える」場所が MRAM の土俵です(メモリの種類と違い)。

なぜ強いのか — moatの核心は「量産実績」と「設計への組み込み」

  • 唯一の専業・20年の量産実績 — MRAM を研究している大手は多いものの、汎用品として単体で売り続けているのは Everspin だけです。産業機器や航空機の部品は10年以上供給が続くことが求められ、「実績のある供給元」であること自体が参入障壁になります。
  • 顧客の設計に組み込まれる(デザインイン) — 一度採用されると、製品寿命の間は置き換えられにくく、売上が粘着的になります。
  • プロセス技術のライセンス — 自社製品を売るだけでなく、MRAM の作り方そのものを他社に提供できる立場にあり、2026年の防衛契約はその延長です。国内(米国)で信頼できる不揮発メモリの供給源を持ちたいという安全保障上の需要が追い風になっています。
つまり moat は「技術が世界一」というより、ニッチな用途で長年の信頼と採用実績を積み上げたことにあります。

弱点とリスク — 小ささと、大手の影

  • 売上規模が小さい — 四半期売上は 1,500〜2,000 万ドル前後で、大口顧客1社の発注増減や在庫調整(2025年には日本の顧客の在庫調整で減速)が業績を大きく振ります。
  • GAAP では赤字の四半期がある — 非 GAAP では黒字でも、株式報酬や開発費で GAAP 純利益はマイナスになることがあります。PER が極端な値になるのはこのためで、倍率だけで割安・割高を判断しにくい会社です。
  • 大手による内製 MRAM — TSMC・Samsung・GlobalFoundries は自社プロセスに組み込み MRAM(eMRAM)を持ち、マイコン等のチップ内部に MRAM を統合できます。Everspin の単体 MRAM が不要になる用途が増えれば、市場が狭まる可能性があります。
  • 製造をファウンドリに依存 — 自社工場を持たず、供給と原価を外部に握られています。
  • テーマ性による株価の振れ — 「スピントロニクス」「量子」などの話題で、業績と無関係に株価が急騰・急落しやすい小型株です。

数字で見る — kabuの実データから

2026年9月時点の kabu データ(SEC EDGAR+株価から算出。最新は銘柄ページで確認)では、直近四半期の売上は前年比 +40% 前後と回復局面にある一方、GAAP の営業利益率はマイナス、PSR(TTM)は約 9 倍で過去レンジの上寄りにあります。株価の伸び(CAGR)が売上の伸びを大きく上回る「乖離」が同セクター内でも高めに出ており、期待が先行している状態と読めます。数字は毎週更新されるため、判定ページで PER・PSR の過去中央値と 25〜75% レンジに照らして確認してください。

投資の視点 — 何を見て判断するか

  • 製品売上と非製品売上の内訳 — 防衛契約による非製品収入は一時的か継続的か。製品側の産業・自動車・データセンターの回復が続いているか。
  • 粗利率 — 50% 台を維持できているかは、価格決定力の目安です(粗利率)。
  • 大手の eMRAM の動向 — 単体 MRAM の市場が侵食されていないか、逆に Everspin のライセンス収入につながっているか。
  • 株価と業績の乖離 — 小型のテーマ株ほど、株価が先に走ります。ニュースで急騰したときほど、売上の実績を確かめる価値があります。

競合比較 — 「MRAM銘柄」はEverspinだけではない

立ち位置企業関わり方
MRAM 専業Everspin(MRAM)単体 MRAM 製品+プロセスライセンス
組み込み MRAM を持つファウンドリTSMC・Samsung・GlobalFoundries(いずれも米 GAAP 外または対象外)チップ内部に eMRAM を統合。Everspin の競合でありパートナー
スピントロニクス関連(センサー)Allegro(ALGM)磁気センサー。記憶ではなく計測(解説
記憶の主流(DRAM/NAND)Micron(MU)MRAM とは土俵が違う大容量メモリ

「スピントロニクス」というテーマの中で、記憶(MRAM)計測(磁気センサー)は別の事業です。Everspin は前者の純粋プレイである分、テーマの追い風も逆風も直接受けます。

よくある質問

Everspin Technologies はどんな会社ですか?
不揮発メモリ MRAM を専業で量産する米国の半導体企業です。産業機器・自動車・航空宇宙・データセンターのストレージ向けに Toggle MRAM と STT-MRAM を販売し、MRAM の製造プロセスを他社にライセンスする収入もあります。
MRAM は DRAM や NAND を置き換えますか?
大容量用途では置き換えません。MRAM は面積あたりのコストが高いため、小容量で「消えては困る・何度も書き換える」用途に向きます。DRAM や NAND とは土俵が違います。
Everspin の最大のリスクは何ですか?
売上規模が小さく大口顧客の影響を受けやすいこと、GAAP では赤字の四半期があること、そして TSMC などの大手が組み込み MRAM を提供しており単体 MRAM の市場が狭まる可能性があることです。
スピントロニクス関連株としては他にどんな銘柄がありますか?
磁気センサーの Allegro(ALGM)などが関連しますが、記憶(MRAM)と計測(センサー)は別の事業です。記憶の純粋プレイは米国上場では Everspin が唯一です。

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出典: ファンダは SEC EDGAR(10-K / 10-Q)、株価は Yahoo Finance。本記事は情報提供・教育目的であり、投資助言ではありません。データに誤りを含む場合があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。 データの作り方 · 運営者情報