2nm・3nm・5nmの違いとは?半導体の「ナノメートル」はもう物理寸法ではない — 世代ごとの違いと関連銘柄
「TSMC が 2nm を量産」「Intel 18A」といった見出しの nm(ナノメートル) は、いまではトランジスタの実寸ではなく世代名です。それでも世代が進むごとに密度・性能・電力効率は確実に改善し、作れる会社と装置が絞られていきます。投資の文脈で「何が変わったのか」を世代ごとに整理します。
一覧表:世代ごとの違い
| 世代(呼称) | トランジスタ構造 | 量産開始の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 7nm / 5nm | FinFET | 2018年 / 2020年 | EUV 露光が本格化。スマホ・GPU の主力に |
| 3nm | FinFET(TSMC)/GAA(Samsung) | 2022〜23年 | SRAM が縮まなくなる問題が顕在化 |
| 2nm | GAA(ナノシート) | 2025年後半〜 | TSMC N2 で GAA に移行。Intel 18A は裏面電源も採用 |
| A16 / 1.6nm | GAA+裏面電源 | 2026〜27年(予定) | 電源配線をウェハー裏面へ。呼称が「A(オングストローム)」に |
時期は各社の公表・報道ベースの目安。
「nm」はいつから寸法でなくなったか
かつての「90nm」「65nm」はトランジスタのゲート長をほぼ表していました。しかし 2010 年代に FinFET(フィン状の立体構造)が導入されたあたりから、実寸と世代名の対応は崩れ、各社が「前世代より密度が上がった」ことを示すマーケティング上の名前として使うようになりました。たとえば「3nm」のチップにゲート長 3nm の部品はありません。世代を横並びで比べるなら、1mm² あたりのトランジスタ数(密度)や、同じ回路を作ったときの性能・電力で見るのが実態に近い方法です。
構造の変化:FinFET → GAA → 裏面電源
- FinFET(7〜3nm):電流の通り道を立体的なフィンにして、3面からゲートで制御する構造。
- GAA(Gate-All-Around・ナノシート)(2nm〜):通り道を薄いシート状にして4面すべてをゲートで囲む。漏れ電流が減り、電力効率が上がる。Samsung が3nmで先行導入、TSMC は N2 で移行、Intel は 18A の RibbonFET で採用。
- 裏面電源供給(Backside Power):電源の配線をウェハーの裏側に回し、表面を信号配線に使う。Intel 18A の PowerVia、TSMC A16 で採用予定。
先端ノードの「縮まないもの」
論理回路は世代ごとに小さくなりますが、SRAM(キャッシュ)はほぼ縮まなくなりました。TSMC の 3nm 世代では SRAM のセル面積が 5nm 世代とほぼ同じと報告されています。チップ面積に占めるキャッシュの割合が上がるため、キャッシュを別チップにして積むチップレット/先端パッケージングへの流れが強まっています。「微細化だけでは性能が伸びない」ことが、パッケージング関連株がテーマ化した背景です。
投資家の視点:世代交代で誰が動くか
- 作れる会社が絞られる:2nm 世代を量産できるのは TSMC・Samsung・Intel の3社に限られます。米国上場では Intel(INTC) が自社製造+受託(ファウンドリ)で挑んでおり、18A の歩留まりと外部顧客の獲得が焦点です。
- 装置は工程が増えるほど有利:GAA と裏面電源で成膜・エッチング・検査の工程数が増えるため、Applied Materials(AMAT)・Lam Research(LRCX)・KLA(KLAC) は「世代交代=装置需要」の構図です(EUV 装置の ASML はオランダ企業で対象外)。
- 使う側:最先端を最初に使うのは Apple(AAPL)・NVIDIA(NVDA)・AMD(AMD) などで、ウェハー価格の上昇(3nm 以降は1枚2万ドル超との報道)がコスト要因になります。
よくある質問
3nmのチップには3nmの部品があるのですか?
ありません。「3nm」は世代を表す名前で、実際のトランジスタ寸法とは一致しません。世代を比較するなら密度(トランジスタ数/mm²)や性能・電力で見るのが実態に近い方法です。
2nmはいつから量産されていますか?
TSMC の N2 が2025年後半に量産を開始し、Intel 18A(2nm 級)も2025年に立ち上がりました。いずれも GAA(ナノシート)構造への移行が最大の技術的変化です。
微細化が進むと必ず性能は上がりますか?
論理回路は改善しますが、SRAM(キャッシュ)は縮まなくなっており、ウェハー価格も上がっています。そのため近年は微細化だけでなく、チップレットや先端パッケージングで性能を伸ばす方向が並行しています。
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