オクタ(OKTA)とは何の会社?事業内容・売上の内訳・見るべき指標をやさしく解説
何をしている会社?
企業が使うクラウドサービスは年々増え、従業員は何十ものアプリに別々の ID とパスワードでログインすることになります。オクタは、これを1つの ID でまとめ、多要素認証や権限の管理まで行うサービス(従業員向けの Workforce Identity)を提供しています。もう1つの柱は、アプリ開発者向けのログイン機能(Customer Identity・旧 Auth0)で、自社アプリにログインや会員管理を組み込みたい企業が使います。
サイバーセキュリティの分野では、「境界を守る」から「誰が何にアクセスしてよいかを毎回確認する」(ゼロトラスト)へ考え方が移っており、ID 管理はその中心にあります。
どうやって稼いでいる?
売上のほぼすべてがサブスクリプション(継続課金)です。ユーザー数や機能に応じた年額契約が中心で、契約が積み上がると翌年以降の売上が見えやすくなります。粗利率はソフトウェアらしく高い一方、営業・開発への投資が大きく、GAAP の営業利益率は近年ようやくプラスになった段階です。株式報酬(SBC)の額が大きく、非GAAP の利益と GAAP の利益に差があります。
競合と強み
最大の競合は Microsoft(Entra ID・旧 Azure AD)で、Office と一緒に提供されるため価格面で強力です。ほかに Ping Identity、CyberArk、Google などがあります。オクタの強みは特定のクラウドに依存しない中立性と、7,000 以上といわれる既製の連携アプリの多さです。Microsoft 中心でない企業や、複数のクラウドを使う企業に選ばれやすい立場にあります。
リスク・弱み
- Microsoft との競争: バンドル販売による価格圧力は構造的で、成長率の鈍化要因として長く指摘されています。
- セキュリティ事故: ID 管理の会社であるため、自社のセキュリティ侵害が信頼に直結します。過去に顧客サポート系のシステムへの不正アクセスが公表されたことがあります。
- 成長の減速: 売上の伸び率は高成長期の数十%から10%前後に落ちており、市場は「利益率の改善」で評価する段階に移っています。
決算で見るべき指標
- 残存履行義務(RPO・cRPO): 契約済みでまだ売上になっていない金額。先行指標として会社も重視しています(ARR・売上・RPO の違い)。
- ネット・レベニュー・リテンション(NRR): 既存顧客の利用が増えているか(NRR)。
- 営業利益率とフリーキャッシュフロー: 成長率が落ち着いたぶん、利益率の改善幅が評価の中心です。
- 株式報酬の比率: 売上に対する SBC の割合と、株数の増加(希薄化)を確認します。
数字で見るオクタ(kabu の実データ)
| 指標(直近四半期 2027Q2) | 値 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | $805M | +11% |
| 純利益 | $116M | +73% |
| 粗利率 | 79.6% | — |
| 営業利益率 | 13.3% | — |
| フリーキャッシュフロー | $233M | — |
| PER(TTM) | データなし | — |
| PSR(TTM) | データなし | — |
| 時価総額 | データなし | — |
区分別の売上(2027Q1・SEC 開示の注記から)
| 区分 | 売上高 | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| サブスクリプション | $750M | 98% | +11% |
| テクノロジーサービス | $15M | 2% | +0% |
直近8四半期で売上高は $665M → $805M(+21%)。出典は SEC EDGAR の 10-K/10-Q(GAAP)で、会社が強調する非GAAP の数字とは差があります。四半期ごとの推移と株価との乖離は オクタの銘柄ページ、PER・PSR の過去レンジとの比較は 割高?割安?判定 で確認できます。