米国株の配当は総合課税と申告分離課税のどちらが得?違い・税率・配当控除が使えない理由・外国税額控除との関係をわかりやすく解説
一覧表:配当の課税方法の違い(米国株)
| 項目 | 申告不要(特定口座源泉あり) | 申告分離課税 | 総合課税 |
|---|---|---|---|
| 税率 | 20.315%(源泉のまま) | 20.315% | 所得税 5〜45%(×1.021)+住民税 10% |
| 配当控除 | — | — | 米国株は対象外(日本株なら適用) |
| 外国税額控除(米国源泉 10%) | 使えない | 使える | 使える |
| 株の譲渡損失との損益通算 | 同じ口座内なら自動 | 可 | 不可(配当は総合、譲渡は分離) |
| 向く人 | 手間を省きたい | 米国源泉税を取り戻したい・損益通算したい | 課税所得が低く、税率 20.315% より低くなる人 |
なぜ米国株では総合課税が不利になりやすいのか
総合課税を選ぶと、配当は給与などと合算され、所得税 5〜45%(復興特別所得税を含めて ×1.021)と住民税 10% がかかります。日本株の配当なら配当控除(法人税との二重課税を調整する控除)で税率が実質 10% 前後下がるため、課税所得 900 万円程度までは総合課税が有利になることが多い。しかし配当控除は国内法人からの配当が対象で、米国企業の配当には適用されません。その結果、米国株の配当で総合課税が有利になるのは、所得税率が最低の 5% の層(課税所得 195 万円以下)に限られます(5.105% + 住民税 10% = 約 15.1% < 20.315%)。
外国税額控除 — どちらの方式でも使える
米国株の配当は米国で 10% が源泉徴収され、日本でさらに課税される二重課税の状態です。確定申告で外国税額控除を使えば、米国で払った 10% の一部〜全部を日本の税額から差し引けます。これは総合課税・申告分離課税のどちらを選んでも使えますが、申告不要(特定口座で源泉徴収のまま)だと使えません。つまり、米国株の配当で申告する主な動機は「総合課税で税率を下げる」ことではなく、「申告分離を選んで外国税額控除を使う」ことになります(外国税額控除の計算ツール)。
損益通算との関係
申告分離課税を選ぶと、配当を株の譲渡損失と相殺できます(特定口座内なら自動、別口座や過去 3 年の繰越損失は申告で)。総合課税を選ぶと配当は「総合」、譲渡損益は「分離」に分かれるため、この相殺ができません。配当と損失の両方がある年は、申告分離が有利になりやすい理由の一つです。
判断の手順(実践)
| 状況 | 一般的な選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 課税所得 195 万円以下 | 総合課税(+外国税額控除) | 税率約 15% < 20.315% |
| それ以上の所得 | 申告分離課税(+外国税額控除) | 総合だと 20.315% を超える。配当控除がない |
| 株の損失がある | 申告分離課税 | 配当と損益通算できる |
| 手間をかけたくない・配当が少額 | 申告不要 | 外国税額控除は諦める |
| NISA の配当 | 申告の対象外 | 日本の税金はゼロ。米国 10% は戻らない(口座の違い) |
なお、総合課税を選ぶと配当が所得に加算されるため、国民健康保険料や各種の所得制限に影響することがあります。税額だけでなく、こうした影響もあわせて確認してください。税制・各社の取扱いは変わることがあります。最新は国税庁・各証券会社の案内で確認してください。